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Appendix 4 ドルトンの分圧の法則 | |
f-denshi.com [目次へ] 更新日: 08/07/25 | ||
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本文中,混合気体のエントロピーの導出の際 [#],ドルトン(Dalton)の分圧の法則を用いています。実験事実です。
ドルトンの分圧の法則:
一定温度の下で,混合気体の圧力は各成分気体の分圧の和に等しい。
m種類の気体からなる混合気体であるならば,
混合気体の圧力: P=P1+P2+・・・+Pm
気体k の分圧: Pk
ここで分圧Pkとは,混合気体の体積Vを気体kが単独で占めるときの圧力。
各気体が理想気体として振舞うならば,気体kのモル数をnk,および,各気体が単独で混合気体の圧力Pを示すときの体積を,V1,・・・,Vm(←分体積と呼ばれる)とすると,
PV1 | = | P1V | = | n1RT | [気体1] | ||
: | : | : | |||||
PVm | = | PmV | = | nmRT | [気体m] | ||
ボイルの法則 | 理想気体として | ||||||
↓ 辺々足し合わせると | |||||||
P(V1+・・・+Vm) = (P1+P2+・・・+Pm)V = nRT | [計算上の話] | ||||||
さらに,混合気体が理想気体であれば,PV = nRT | [混合気体] |
が成り立ちます,ただし,n=n1+・・・+nmとおいています。ドルトンの法則は,ここで,P=P1+P2+・・・+Pmが成り立つことを主張しています。また,ドルトンの法則が成り立つならば,自動的にV=V1+・・・+Vmも成り立ちます。これらは自明ではありません!もし,異なる理想気体の分子どおしの間で引力が働けば,V<V1+・・・+Vmとなるかもしれないから。ドルトンの法則は,異なる理想気体の分子どおしの間においても,同一の理想気体の分子どおしと同様に分子間相互作用(引力,反発力)が存在しない,もしくは存在しないかのように振舞うことを述べているのです。
また,これらの関係式を辺々割り算をすれば,
P1 | = | V1 | = | n1 | =x1, ・・・ , | Pm | = | Vm | = | nm | =xm | [モル分率] |
P | V | n | P | V | n |
なる関係式がえられます。つまり,各気体の分圧比 Pk/P はその気体のモル分率 xk に等しいことがわかります。
ドルトンの法則を理想気体の性質に含める場合もありますが,そのときは,「すべての理想気体どおしの間で分子間相互作用は存在しない」といってもよいでしょう。
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