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Appendix 0 方向微分係数と勾配 |
f-denshi.com [目次へ] 最終更新日: 21/09/22 PDF版から転記 | |
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[1] 偏微分係数は,x 軸方向(よこ) ,またはy 軸方向(たて) のどちらか一方向にだけに変数を変化させ,その(直線) 方向に沿った関数 z = f(x,y)の傾きを求めていることになります。2変数関数の定義域が xy 平面であることを考えれば,変数の変化方向は,「たて,よこ」の2とおりに限定する必要はなく,斜め方向でもいいはずです。そこで,x 軸とθの角をなす方向に変数を変化させたときの ”傾き” を次のように定義します。
C =
f ( X + h cosθ, Y + h sinθ) − f ( X, Y ) h
この極限が存在するとき,C を (X, Y) における方向微分係数といいます。
[2] ここで, f を合成関数 [#]
z = f ( x(h), y(h) )
ただし,
x(h) = X + h cosθ
y(h) = Y + h sinθ
とみなして,h で微分すると,
C = df = ∂f dx + ∂f dy dh ∂x dh ∂y dh
= ∂f (x,y) cosθ + ∂f (x,y) sinθ ∂x ∂y
= v ・ u
ただし,
v = ∂f (x,y) , ∂f (x,y) , u =(cosθ,sinθ) ∂x ∂y
と2つのベクトルの内積を用いて方向微分係数を書き表すことができます。
[3] したがって,| u | = 1 であることに注意すれば,
「v とu とが同方向を向いている ( = v 方向の方向微分を考える) とき,
C は最大値| v | をとる。
これはデカルト座標に,曲面 z = f (x,y) をプロットしたとき,(接線の)傾きが最大となる方向がv の方向であり,その大きさが| v | であることを意味しています。
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そのため,v はf(x,y)の勾配 (grad) と呼ばれます。
同じことの言い換えですが,ベクトルu がv とちょうど反対方向を向いているとき,u はその点でもっとも下り勾配が急となる方向を向いおり,その大きさは| v | であると述べることもできます。
[4] また,勾配は,(2次元の) ナブラ と呼ばれるベクトル,
∇= ∂ , ∂ ∂x ∂y
を定義し,形式的なスカラー倍として,(ただし,スカラー f は右からかける。)
v = ∇f
というように書くことができます。また,
df =∇f ・u ⇔ d f =∇f ・ (dhu) = ∇f ・ du dh
と表記することもできます。
[5] 3次元のスカラー関数 [#] f (x,y,z) への自然な拡張として,
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= | ![]() |
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= | ∂f | dx | + | ∂f | dy | + | ∂f | dz | |||||||||
∂x | dh | ∂y | dh | ∂z | dh |
= | ∂f (x,y,z) | cosα | + | ∂f (x,y,z) | cosβ | + | ∂f (x,y,z) | cosγ | ||||||
∂x | ∂y | ∂z |
= n ・ ∇f
ただし,
3次元のナブラベクトルと勾配
方向余弦, n = ( cos α,cos β,cos γ) |
で定義されます。n は方向余弦で,3次元においての微分方向 (h がゼロに近づいてくるときの方向) と各 x, y, z 軸とのなす角度です。
具体的イメージとしては, f ( x, y, z ) が位置 ( x, y, z ) の温度であるとすると,その温度変化(=温勾配)
の最も急上昇する方向と大きさが∇f (x,y,z)で表されます