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421 ガウスの微分方程式 |
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[1] A,B,C をある定数とする,次のような微分方程式をガウスの(超幾何)微分方程式
x (1-x) y''+{ C−(A+B+1) x } y'−AB y = 0 ・・・・ (1)
といいます。 この方程式の解 y(x) は級数を用いて,
y = xr cn xn ・・・・ (2)
と展開し,係数 cn を決める方法で求めることができます [#]。そこで,
y'(x)= cn (n+r)xn+r-1
y''(x)= cn (n+r)(n+r−1)xn+r-2
とおいて(1)に代入して整理すると,
x(1-x) cn (n+r)(n+r−1)xn+r-2 + {C−(A+B+1)x} cn (n+r)xn+r-1 −AB cn xn+r
=c0r(r+C−1) xr-1+ { cn(n+r )(n−1+C+r )−cn-1(n−1+A+r )(n−1+B+r )} xn+r-1 = 0
この x の方程式が成り立つためにはすべての x の係数が 0 であることが必要です。 xr-1 項の係数より,決定方程式 [#],
c0r (r+C−1) = 0 ・・・ [*]
が得られ,さらに,高次の項の係数 { } も 0 でなければならないので,
cn(n+r )(n−1+C+r )−cn-1(n−1+A+r )(n−1+B+r )= 0 ・・・ [**]
という漸化式が成り立たちます。
[2] まず,[*] の解として,
(1) r = 0 の場合, [**] は,
cnn(n−1+C)−cn-1(n−1+A )(n−1+B )= 0 ・・・ (3)
したがって,
cn = A(A+1)・・・(A+n−1)B(B+1)・・・(B+n−1) c0 n!C(C+1)・・・(C+n−1)
となります。ここで,c0 = 1 とした,cn を係数にもつ級数,
ガウスの超幾何級数
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をガウスの超幾何級数を定義すれば,ガウスの微分方程式の解の一つ y1(x) は,
y1(x) = c0F(A,B,C;x )
となります。ただし,A や B が負の整数のとき,級数は有限項で止まります。 ⇒ [#]
(2) 次に [*] で,r = 1−C の場合, [**] は,
cn(n+1−C )n−cn-1(n+A−C )(n+B−C ) = 0 ・・・ (4)
となり,これは(3)において,
A ⇒ A−C+1
B ⇒ B−C+1
C ⇒ −C+2
と置き換えたものなので,微分方程式の解は,
y2(x) = c0 x1-C F( A−C+1,B−C+1,−C+2;x )
結局,ガウスの微分方程式の一般解は任意定数,c1,c2 を用いて,
ガウスの微分方程式の級数解:
y(x) = c1F(A,B,C; x )+c2 x1-C F( A−C+1,B−C+1,−C+2;x ) |
となります。
[1] いくつかガウスの微分方程式の具体的な例について紹介しておきます。
y = (1−x)A
y'=−A(1−x)A-1
よって,
(1−x)y'+Ay = 0 ・・・・ (5)
もう一度微分して,
y'+(1−x)y''+A y'=0 ・・・・ (6)
(5)×B+(6)×x より,
x(1-x)y''+{B−(−A+B+1)x}y'+ABy = 0
となり,これはガウスの微分方程式(1)で,
A → −A,
B → B,
C → B
とした微分方程式で,その解はガウスの超幾何級数で表現できます。
一方,y = (1−x)A はテーラー展開することも可能ですが,より一般的に,テーラー展開できる関数はガウスの超幾何級数で表すことができるのです。
[2] 応用上重要なルジャンドルの微分方程式とガウスの微分方程式との関係も確かめておきましょう。
ルジャンドルの微分方程式 [#]:
(1−x2)y''−2xy'+ν(ν+1)y = 0
において,x = 1−2u とおくと,
u(1−u)y''+(1−2u)y'+ν(ν+1))y = 0
となって,ガウスの微分方程式 (1)式,
u(1-u)y''+{C−(A+B+1)u}y'−ABy = 0 (u に関する方程式)
と比較すると,
C ⇔ 1,
A ⇔ - ν,
B ⇔ ν+1,
u ⇔ (1−x)/2
とした場合であることがわかります。